Sant sewa アシュラムのマハラジが逝去されました。



 昨日早朝に私達の住む部屋の真向かいにある Sant Sewaアシュラムのマハラジが逝去されました。三日前に持病が悪化し病院に向かったところ、コロナと診断されたそうですがベッドに空きがない為、酸素吸入器を渡され自宅療養するよう家に帰されたようです。

Lakshman Jhula エリアの大きな地主でもあり、政治活動も始めたところだったのでリシケシュで知らない人はいないほどの有名な人でしたが、パンデミック下では何もかもが非力です。

風通しの良い場所で寝るように医師から言われたため、病院から戻って休んでいた場所が、アシュラムの1階の砂や砂利が積もった廃墟のような空きスペースでした。窓ガラスも扉ももない、人が寝泊まりする場所ではないところに移り、隔離といえども気の毒だなと思いました。他にも沢山客室が空いているというのに。

翌朝、生前に大半の時間を過ごしていたアシュラムの受付部屋で家族たちに「火葬はアシュラムの真向かいのガートでするように」と伝える傍ら、隣近所の政治家を呼び出していつものように罵詈雑言を言ったりするので、周囲の人たちはまだ元気があると思っていたそうですが、言葉をまくしたてながら亡くなっていったようです。

マハラジは生前は、娘さんの結婚式にはヘリコプターで花びらを町中にまいてフラワーシャワーをするという可愛らしい夢を語っていた反面、暴言を吐くことで有名でもあり、つかみどころの無い人だなと思っていましたが、

社会的に弱い立場の人や、無一文になって今晩寝る場所がない人をアシュラム内に住まわせて、数年後有名なレイキやヨガの先生を沢山輩出した功績があります。

マハラジはヨガのティーチングなどは全くしない人でしたが、いつもオフィスでドンと岩のように座っていて遠目で見ても迫力がある人でしたので、その人の傍で3年従事すればかなり人間力が鍛えられるらしく、私たちのヨガスタジオで働いていたスタッフや現スタッフにも数名、sant sewaアシュラム出身のスタッフが在籍していて、勤勉でどんな仕事も分け隔てなくこなしてしまうので、むしろ自分が怠けている気がするほどでした。

マハラジは亡くなったあとドクターが死因を調べたところ、コロナ陰性だったそうです。病院によって陽性だったり陰性だったり結果がバラバラなことがあるので何を信用したらいいのかわからなくなりますが、亡くなった後も、もしコロナ陽性だと言われていたら、火葬は顔を見ることもできないまま、ビニールシートでくるまれ供養のマントラもなしにガソリンと薪で燃やされてしまいます。

最期に陰性の結果がでたおかげで、本人の遺言通りアシュラム前のガンガーでババジや信者による火葬で見送ることができ、それだけは良かったと思います。コロナ陰性で亡くなったとしても読経するパンディットが多忙すぎて現地に行けないからスマホでマントラを唱えて供養することもあるそうなので、マハラジは自分が理想とする完璧な火葬ができました。

ヒンドゥ教徒は亡くなる間際に言葉にするマントラや神、思想について、深く念じることで次の輪廻でそれらと繋がることができるという考えがあるので、死に際についてどうするか、何を想うか決めているインド人は多いです。

何をするのも数週間から半年以上というスパンで時間がかかるインドなのに、死後から火葬までの流れだけは早く数時間後で終わってしまうので、いまだにマハラジが亡くなったことが信じらません。日本のようにお通夜らしい儀式もなく、火葬が終われば周辺のお店は再び営業を再開し、私たちは気を正して日々の生活に戻っていくことの繰り返しです。

私たちの住むラクシュマンジュラのエリアは地域の顔をお互い知っている小さな小さな町で、コロナのニュースが流れはじめた1年以上前は、こんな大自然に囲まれる インフルエンザもよく知らない人たちが住む町にコロナはくるのだろうかと思っていましたが、この1年で元スタッフを含む近隣の人たちが何十人も連鎖するように亡くなり、異常なことになっています。

若くても体の弱い箇所があったり、ガンや糖尿病など病気を抱えている人が多かったので、私としても日ごろの食事は免疫をつけて殺菌効果のある食材(ハーブティー、ターメリック、玉ねぎ、ニンニク)を取り入れるとか、睡眠をしっかりとるなど気を付けています。建設現場で汗を流しながら瓦礫を運んでいる肉体労働の人にコロナ感染が少ないそうなのです。

こちらでは5月から一般人にもワクチン接種が開始するとのことですが、それ以外にも基礎体力を落とさず、コロナ後の世界のために思いを磨いて準備したいと思います。辛抱が続く辛い時期ですが、皆さまも身を大事にしてお過ごしください。