土星への祈り・喜捨・アーラティのためにリシケシュでおすすめの場所

こんばんは。
今日はインド人特有の土星との付き合い方についてお話したいと思います。「土星なんて遠すぎて縁がないわ!」と思いますよね。

土星については、インドに住んでみたり、占星術を学ぶにつれて繋がりを感じるのですが、どんなに強気な態度のインド人でも土星の前では謙虚なところが興味深くあります。

「最近不運が続いていて~」「土星の影響で仕事が安定してなくて~」というのが日常会話としてよくあるのですが、運勢が下向きだと感じると”これは土星の影響である”と直結して思う人が意外と多くいます。土星云々より日頃の行いの積み重ね次第だろう、と普通は考えられるかもしれませんが、個々人の思考や行動でさえも土星にコントロールされてるようなものだそうです。

シャニ(土星)の単語の中にある"श "(シャ)というサンスクリット語の音は漢字同様に文字一つ一つに由来や意味をもち、土星の特性上ゆっくり太陽を三十年近くかけて周ることから、「ゆっくり・時間をかけて」という意味の “शनैःシャナァエへ)”という言葉もあります。単語の意味がわからない場合類推して分かる場合があります。

例文 

शनैश्चर शनैः शनैः सूर्यस्य परिक्रमां करोति।

シャナァエシュワラ シャナァエへ シャナァエへ スーリヤスヤ パリクラマーン カローティ 

・意味
土星はゆっくりゆっくり太陽の周りを公転する。

インド占星術では土星のダシャー期に三十年も丸々影響を受けるわけではないのですが、誕生時の土星の配置により受ける影響も含め軽視できない重大なポイントを握る惑星です。

ホロスコープ上、土星が在住する部屋から3,7、10室目にアスペクトする部屋は土星の影響を受けるので、万人が何かしら影響を受けているのですが、苦難を与えるだけでなく、仕事にストイックになる結果忍耐強くなったり、修行させる要素もあるので必ずしも絶対的に大凶をもたらす惑星であるとは一概に言えません。適度な負荷が私たちを向上させてくれます。

土星に対して友好的になろうとまでは言わないまでも、過度に恐れず土星やバイラヴァ神に関係するお寺を参拝したり、マントラを唱えることが望ましいとされます。

お寺に行くことができなければ土星供養のために土曜日に半日断食をしたり、バイラヴァの化身とされる黒い犬に食事を与えることでも処方箋になるとされます。

一方であるジョーティシュによれば、「人々は土星ばかり気にしているが、実は金星の配置が悪いために今ひとつ不運続き、 という人も少なくない」そうです。

まずは、リシケシュエリアで最も有名なバイラヴァのお寺を紹介します。


グーグルの地図で最近確認すると名称が「Deep Adventure」に変更されていましたが、この場所がバイラヴァ・マンディルで、地元の人はシャニ・マンディルと呼んでいます。バイラヴァと土星の関係がよくわからないのですが、土星信仰する人々もこちらのお寺に参拝します。やはり土曜日が一番混雑しています。

お寺の内部

下の写真は信者、通行人へ視線を注ぐバイラヴァ像で、小さく黒いお寺でありながら存在感があります。用事の無い通行人でも一瞬、心が釘付けになりそうですね。



バイラヴァはシヴァ神の化身のひとつで全身が黒いことから、その色に似た食べ物(黒い豆、マスタードオイル、黒胡麻)を捧げるために持参する人もいます。灯明を捧げて五体投地をしたり、持参したマスタードオイルを神様の像にかけるなど熱烈な信奉者がいます。




ほとんどの写真は7,8年前に撮影したものです。道路の幅を広くするためにお寺の敷地の一部を減らしたので、現在は敷地が縮小されてしまいました。当時縮小工事をさせた議員がその後落選したそうで、それも「バイラヴァの祟り」など今でも言われております😓

お寺の中に入ると、オレンジ色のテカテカに光ったハヌマーンの像があり、その像に硬貨を貼り付けたり、灯明(ディーパク)をお供えします。油や豆で足の踏み場がない時もあり、人の祈り方にケチをつけているのではありませんが、こんなに豆や油を地面にまき散らすのなら、貧しい人に配布したほうが…いい!と思います。

バイラヴァへ供物を捧げるのと、貧しい人への施しかは別次元の話なのかもしれません。バクティヨガと現実的なカルマヨガはどちらが優れているかといった答えのない不毛な議論はしたくない!と答えが返ってきそうです。




以下は土星に関するマントラです。ユーチューブで「Shani mantra」と検索すると沢山の動画・音声がアップロードされています。


नीलांजनसमाभासं रविपुत्रं यमाग्रजम्‌।

छायामार्तण्ड सम्भूतं तं नमामि शनैश्चरम्‌।


惑星の中でも唱える回数が桁違いで、108回から始めて目標は30000回でも50000回でもジャパができれば土星からの影響が緩和されるといいます。発音や長さで障害となる場合は、下記の「土星のためのタントラのマントラ(タントリック・マントラ)」もあります。短いですが本質が凝縮されている上、覚えやすいですね。


ॐ प्रां प्रीं प्रौं सः शनैश्चराय नमः ॥


お寺参拝以外に、貧しい人に喜捨をすることによっても土星への供養となります。おすすめの場所はリシケシュのマーケット街にあるTriveni ghat(トリヴェニー・ガート)というガンジス河沿いのエリアです。


ここは、アラティに関しても有名で、リシケシュエリアでは一番活気があります。規模は違えど、初めてのインド旅行でハリドワールのアラティを初めてみた時のようにインスパイアされるものがありました。

例えば一般的に人気のパラマートニケタンのアラティだと、祭祀者たちと来訪者が別々の立場であるように感じるのですが、トリヴェニーガートのアラティは、来訪している人が祭祀者の存在を上回って歓声をあげて、全身全霊祈りに熱中したインド人たちが多く、強烈なバイブレーションが流れています。




先日、トリヴェニーガートに行って、不要な服・靴、子供の玩具、フライパン、圧力釜などを寄付してきました。新品を渡すことができればよりいいのですが、路上で生活しているような人たちが何百人と座っているので太っ腹なことはできません。自分のできる範囲で定期的に行っています。外国人の旅行者の方でインドを去る前に不要な服などをゴミ箱にどさっと捨てて帰られる方がいますが、(荷物を軽くしたい気持ちはわかります。) もし時間がゆるすのであれば、是非トリヴェニー・ガートで貧しい人へお譲りすることをおすすめします。

不思議なもので気分も軽くなり、定期的に通いたくなります。誰に手渡すか迷ったり声をかけるのが恥ずかしい人は、ガンジス河沿いの階段にそっと置いておくと必要な人が拾って持ち帰ります。