ヨーガスートラ 1章23節から1章32節





ईश्वर प्रंणिधानाद्वा ॥23॥
イーシュワラ プラニダーナードヴァー

ईश्वर प्रंणिधानात् イーシュワラ プラニダーナート
神への瞑想、祈願によって

वा ヴァー
~も(無想三昧に近づく)




क्लेशकर्मविपाकाशयैरपरामृष्ट: पुरुषविशेष  ईश्वर: 24
クレーシャカルマヴィパーカシャイェラパラームリシュタハ 
イーシュワラハ

ईश्वर: イーシュワラハ
自在神とは

क्लेशकर्मविपाकाशयै クレーシャカルマヴィパーカシャイェ
क्लेशクレーシャ + कर्म カルマ + विपाक ヴィパーカ + आशय アーシャヤ)
煩悩、カルマ、カルマの果報、業遺存

अपरामृष्ट: アパラームリシュタハ
これらと関係がない。

पुरुष विशेष: プルーシャヴィシェーシャハ
すべての真我の中で最も特別である。

単語補足

क्लेश クレーシャ
煩悩。煩悩は以下の5つからなる。

(1)अविद्या (+वि+द्+या)  アヴィッデャー 
無智 無明 
(⇔ 対義語 ヴィッデャー  विद्या 叡智)

(2)अस्मिता アスミター 
自己同一性、アイデンティティ、自分が自分であるという無意識の中にまで根付いているもの

(3)राग ラーガ 
愛着

(4)द्वेष ドゥヴェーシャ
嫌悪 

(5)अभिनिवेश アビニヴェーシャ 
死に対する恐怖


कर्म カルマ
行為、業。カルマは下記4つからなる。

    (1) पुण्य プニャ /善のカルマ
    (2) पाप パーパ  / 悪のカルマ
    (3) 善と悪が合わさったカルマ
    (4) 善にも悪にも影響を受けないカルマ

विपाक ヴィパーカ
 業果、カルマの果報。

 आशय アーシャエ 
 業遺存。サンスカーラの一部分で煩悩性の行為から生じます。
(サンスカーラとは今世におよぶ前世からの行為の影響がすべて蓄積されたもの)




तत्र निरतिशयं सर्वज्ञबीजम् ॥25॥
タトラ ニラティシャヤン サルヴァジュニャビージャン

तत्र タトラ
彼(イーシュワラ/自在神)の中には

सर्वज्ञबीजम् サルヴァジュニャビージャン
सर्वज्ञबीजसर्व サルヴァ+ज्ञジュニャ +बीज ビージャ )   
一切知、全知全能の種子が

निरतिशय ニラティシャヤ
絶対的である。無限にある。
(対義語 
सातिशय サーティシャヤ)




पूर्वेषामपि गुरुः कालेनानवच्छेदात् ॥26॥
プールヴェーシャーマピ グルフ カーレーナー ナヴァッチェダート


पूर्वेषाम् プールヴェーシャーン
太古のグルたち
गुरु グル 霊的な成長へ導く指導者、師)

अपि アピ
~にとっても、
गुरु: グルフ
グルである。

कालेनानवच्छेदात् カーレーナーナヴァッチェダート
 なぜなら、彼(イーシュワラ)は、時を超えた存在であるから。



तस्य वाचक: प्रणव: 27
タスヤ ワーチャカハ プラナヴァハ

तस्य  タスヤ
その(イーシュワラの)
वाचक  ワーチャカ
音で表す名前は

प्रणव: プラナヴァハ 

オーム()である。  
 
供養、神へ捧げる意を伴う行為はすべてヤギャ(यज्ञまたは ヤジュニャ)と呼ばれ、その中でも、真言を唱えることによる供養、神の名前を声にすることが最も貴いとギーターでも述べられています。(ギーター1025節)
真言を唱えることをジャパヤギャ(जपयज्ञ 他の読み ジャパ ヤジュニャ)といいます。




तज्जपस्तदर्थभावनाम् 28॥
ジャパスタダルタバーヴァナン


तज्जप ジャパ
そのオームの真言を唱えることで

तदर्थभावनम् タダルタバーヴァナン
その音がイーシュワラの姿であることを念想すればよい。




तत: प्रत्यक्चेतनाधि गमोऽप्यन्तराभावश्च      29
タタハ プラティヤクチェタナーディ ガモーアピャンタラーバーヴァシュチャ

तत: タタハ
それによって

अन्तरायाभावःアンタラーヤーバーヴァハ
(अन्तराय: +अभाव  アンタラーヤハ+アバーヴァ) 
ヨガに対する障害が無くなっていく。

*障害(अन्तराय:アンタラーヤハ)については1-30で引き続き解説されます。

 チャ
また

प्रत्यक्चेतनाधिगमः  プラティヤクチェタナーディーガマハ
内なる世界に対する正観、知識

अपि アピ
~も(得る)

व्याधि स्त्यान संशय प्रमादालस्याविरतिभ्रान्तिदर्शनालब्धभूमिकत्वानवस्थितत्वानि चित्तविक्षेपास्तेन्तरायाः ॥30॥
ビャーディ ステャーナ サンシャヤ プラマーダーラスヤーヴィラティブラーンティ ダルシャナーラブダ ブーミカットワーナヴァスティタットヴァーニ  チッタヴィクシェーパーステーアンタラーヤーハ


चित्त विक्षेपाः チッタ ヴィクシェーパーハ  
チッタの散動状態には(以下のものがある)
・व्याधि ヴャーディ(vyaadhi) 病気
・स्त्यान  ステャーナ (styaana)無気力
・संशय  サンシャヤ 疑念
・प्रमाद  プラマーダ 放逸。ヨーガの周到な準備や注意ができない性質
・आलस्य  アーラスヤ 怠惰
・अविरति  アヴィラティ 執念、執着
・भ्रान्ति दर्शन  ブランティ ダルシャナ 誤った見解、妄見
・अलब्ध भूमिकत्व  アラブダ ブーミカットワ 寂静の瞑想へ入れない状態
अनवस्थितत्व  アナヴァスティタットワ 三昧中、長くとどまれない心の状態

ते テ それらが
अन्तराया: アンタラーヤーハ (ヨーガに対する)障害である。
 




दुःखदौर्मनस्याङ्गमेजयत्वश्वासप्रश्वासा विक्षेपसहभुवः  ॥31॥
ドゥーカ ダォルマナスヤーンガメージャヤットヴァ シュヴァーサ プラシュヴァーサ ヴィクシェーパ サハブヴァハ

विक्षेपसहभुवः ヴィクシェーパサハブヴァハ
(前節の)“チッタの散動状態”(चित्त विक्षेपाः ヴィクシェーパーハ)と共に起こるものは5つあります。

(1)दुःख ドゥーカ 苦しみ
 दुःख は下記3種
 (a)आध्यात्मिक दुःख アーデャートミック ドゥーカ
 執着や怒り、病気のために心、感覚、体の中に発する熱や痛み。 
 (b)आधिभौतिक दुःख アーディバォーティック ドゥーカ 
 人間、動物、鳥、トラ、ライオン、蚊などから受ける苦痛、苦しみ。
 (c)आधिदैविक दुःख アーディダェヴィック ドゥーカ 
 寒さ、暑さ、雨、地震などの天災によって受ける苦しみ。

(2)दौर्मनस्य ダォルマナスヤ 望みが叶えられないことによる不満
(3)अङ्गमेज़यत्व 手足の震え 
(4)श्वास  シュワーサ 望まないのに、体の外の空気が中に入ること。
すなわちバヒラ・クンバカの障害。
(5)प्रश्वास プラシュワーサ 望まないのに、体内の空気が外に出ること。
すなわちアンタル・クンバカの障害。

(注 (4)のシュワーサश्वासと(5)のプラシュワーサ प्रश्वासについて、ある注釈家は「不規則な呼吸による苦しみ」としている説もあり。) 



तत्प्रतिषेधार्थमेकतत्त्वाभ्यासः ॥32॥
タトプラティシェーダールタメーカタットヴァービャーサハ

तत्प्रतिषेधार्थम् タトプラティシェーダールタン
それら心の散動を対治するには

एक तत्त्वाभ्यास :  エーカ タットヴァービャーサハ 
एक +तत्त्व+अभ्यास エーカ タットヴァ アビャーサ)
あるひとつの実体、本質的なものにしっかりと繰り返し心を集中する訓練を用いる。