ヨーガスートラ 3章13節




एतेन भूतेन्द्रियेषु धर्मलक्षणावस्था परिणामा व्याख्याताः  3-13

 エテーナ ブーテンドリイェーシュ 

ダルマラクシャナーヴァスター 

パリナーマ ヴィャーキャーターハ 




एतेन エテーナ 
このように(前のシュローカで述べたサマーディパリナーマとエカーグラターパリナーマによって)


भूतेन्द्रियेषु ブーテンドリイェーシュ
物質元素とすべての感覚に関する


धर्मलक्षणावस्थापरिणामा:  ダルマラクシャナーヴァスター パリナーマハ 

धर्म -परिणाम ダルマ パリナーマ 
法の転変

लक्षण -परिणाम ラクシャナ パリナーマ 
時間的位相の転変

अवस्था -परिणाम アヴァスター パリナーマ
様態の転変


व्याख्याताः ヴィャーキャーターハ(vyakhyaataaha
(この3つの転変が)が説明される。



「〇〇パリナーマ」という用語が増えてきたので混乱しやすくなってきますが、パリナーマという言葉は「転変」という意味を抑えた上で、刹那刹那に転変する要素をここでは確認していきます。

この節の3つの「ダルマ」、「ラクシャナ」、「アヴァスター」のパリナーマのうち、まずラクシャナ パリナーマ (時間的転変)には「過去・現在・未来」の3つの時間的位相を元にした転変があります。

(1)अतीत लक्षण परिणाम アティータ ラクシャナ パリナーマ
現在のダルマが消えて過去になった時間的位相の転変

(2)वर्तमान लक्षण परिणाम ヴァルトマーナ ラクシャナ パリナーマ
到来していたダルマが具現化した現在の時間的位相の転変

(3)अनागत लक्षण परिणाम アナーガタ ラクシャナ パリナーマ
具現化する前の未来の時間的位相の転変


3
11節のスートラでは、雑念状態のダルマが消滅し専念状態になるサマーディ パリナーマについて教示されました。
それについて当てはめると、サマーディ パリナーマに入った時間から見て、それ以前に起こっていた雑念状態は過去になったので “アティータ ラクシャナ パリナーマ” となります。

サマーディ パリナーマの後、エカーグラター パリナーマのダルマが生じることが述べられました。これは現在時間に現れ続けるので “ヴァルトマーナ ラクシャナ パリナーマ” といいます。集中状態のダルマがしばらく続くので、続いている間は“ヴァルトマーナ ラクシャナ パリナーマ” です。


【インドの明日も昨日も"カル"

この発想が今のインドの日常にも根付いていて、昨日のことをヒンディ語で「カル कल」というのですが、明日のことも「カル कल」といいます。文脈全体を見て動詞が過去か未来かを確認して、明日のことを言っているのか、昨日のことを言っているのか判断します。

もし文脈がなく「カル」だけ言われると、わからない時があるので英語で「イエスタデー?トゥモロー?」と聞き直すこともあります。


「丁寧にいうと、“過ぎ去った一日”であれば、
ビーター フアー カル (बिता हुआ कलといい、

“これから来る一日”であれば 
アーネーワーラー カル(आने वाला कल


「カル」という時間単位は最長で24時間程の時間単位です。明日7月8日になった時、今日の7月7日は過ぎ去った一日“ビーター フアー カル”になって、7月9日はこれから来る一日“アーネーワーラー カル”になります。これらが 時間的位相の転変です。



残り2つのパリナーマである、
अवस्था -परिणाम アヴァスター パリナーマ
様態の転変

धर्म -परिणाम ダルマ パリナーマ 
法の転変

も同じく、時間的位相の転変と同時進行で動きます。

「様態の転変」とは、形状や性質の変化が目で見てそれがわかる転変を指します。新しいものが古くなる、子供が成人してその後は老いていく、これも様態の転変です。

レストランの食材を例にあげると、注文する前は冷蔵庫に冷えた状態の材料があり、注文後に調理人によって加熱されるなどし、料理が完成します。食されたあと、胃液と混じって形状は原型がわからないほど変化し、一部は栄養に、残りは排泄され、土に還る、という一例が様態の転変です。



法(ダルマ)の転変」は、役目・役割が転変することを指します。先ほどの食材の例でダルマを追っていきます。はじめにお店の営業を継続するために仕入れられ、そのあと料理の中でメニューの主役になったり、幼児へのおまけであったり、スピードメニューとして常備されたり、盛り付けを引き立てるためなどのダルマがあります。

それを食べたお客さんの空腹を満たし、お祝いの会食では来場者にもてなしたり、料理の話題で会話をはずませるなどの役割があります。

胃に入った食材は体内で分解され生命維持の役目を果たしたあと、残りは土に還るとします。これがインドの牛の糞であれば、畑の養分になるほか、燃料になったり、壁や床が作られ部屋の湿度管理をしたりなど、長いダルマの循環が続きます。

サンキャー哲学とヨーガ哲学の理論は、プラクリティの世界の事象は、サットヴァ・ラジャス・タマスの不安定なグナでできているため、変化が生じるのが常です。時の経過とともに、様態とダルマも変化します。

これは4-12節で再び因中有果論について触れられています。